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社員が会社のお金や経費を横領している?社内不正調査

横領が発覚すると取引先や銀行、お客様との間に長年培ってきた信用が
一瞬で損なわれるおそれがあります。
会社の存続を脅かす大ダメージにもなりかねません。
横領が疑われる場合は下手に騒ぎ立てるのは厳禁です。

「まずは横領した本人の事情聴取から」という手順も間違いです。
いざというとき取り返しのつかない事態を招かないため、 あらかじめ正しい対処方法を知っておきましょう。

社内の横領はどのような罪に当たるか

着服や転売、不正リベートなど会社の持つお金などを横領する事は業務上横領罪にあたります。

立派な犯罪ですが、警察は確かな証拠がないと動いてはくれません
損害賠償金を求めて民事訴訟を起こすにも証拠が不可欠です。

横領の発生が疑われたら、まずは証拠を固めるのが何よりも大切といえます。
IT時代の横領にはデジタルデバイスがつきものです。
しかし対応を誤ると簡単に証拠を消されてしまうのがデジタルデバイスのやっかいなところといえます。
確実に証拠を押さえるために対処の手順を間違わないようにしましょう。
犯行に気づいた事が横領している当人に伝わると間違いなく証拠を消されてしまいます。
そのため内密で証拠を集めなくてはならないのです。
絶対に「本人に話を聞いてから」などと思わないでください。
温情をかけるにしろ、まずは事実を明らかにする事が大事です。

横領をした労働者への対処方法

横領した労働者への対処は起訴か示談の2択になるでしょう。
業務上横領は刑法253条により10年以下の懲役にあたり、罰金刑がありません
そのため初犯でも100万円以上の横領で実刑となる可能性が高まります。
横領が公になると企業の社会的信頼に傷がつきます

また当人が逮捕されてしまうと横領されたお金が戻ってくる確率が下がってしまうでしょう。

そもそも横領するほどお金に困っている人に「返金能力があるかどうか」は不安が残ります。
被害規模や本人の状態、会社の社会的信頼性などを総合的に考えて慎重に対処する必要があるでしょう。
心情的には給料や退職金を払わず懲戒免職にしたい場合もあるでしょうが、
就業規則に沿って粛々と手続きを進める事が大切です。

被害届と実際の被害件数の違い

近年、日本での刑法犯認知件数は年々減少傾向にあるというものの、平成19年には全国で約190万件(平成20年度警察白書より)の犯罪が発生しています。
しかし、認知件数というのはあくまで警察等捜査機関によって犯罪の発生が認知された件数なのです。
逆に言えば、警察等捜査機関が犯罪の発生を認知しなければ発生したことになっていないことになってしまいます。

ですから、「証拠が無くて被害届が出せない(被害届を受理してもらえない)」等の理由から、犯罪被害に遭っているものの、それらの方々の数字は載っていないのです。

例を挙げると、大小はあるものの企業にとって悩みの種といえる「横領(業務上横領)」の認知件数ですが、約2,000件(平成19年)しかありません。
これは偏に「発生していない」のでは無く、「発生しているが警察等が認知していない」ということなのです。

横領した従業員の調査の必要性

詐欺を行った人物について知っておくことがあります。

  • 詐欺 どこに住んでいるのか?
  • 詐欺を働いた目的は何か?
  • 詐欺 詐欺によって得たお金は何に使われているのか?
  • 詐欺 詐欺を働くために、どこを立ち回っているのか?

詐欺犯が元々知り合いで、住まいや立ち寄り先を知っていれば、すぐに確認をしに行くことは簡単でしょう。

しかし、ご相談者様にはすぐに行けない理由がありますよね。

それは、詐欺犯に近い人物で疑っていることを悟られたくなかったり、ご相談者様を取り巻く人間関係を壊したくなかったりといろいろ事情があるはずです。

そのために、あくまでも詐欺犯に察知されないように、
そして、大切な人たちを巻き込まない形で、真実を知る必要があるのではないのでしょうか?

横領の立証

横領は、委託の趣旨に反して、その物の所有者でなければできないような行為をすることですので、例えば、会社の預金口座の通帳を管理している社員が自分の個人的な借入先に対する返済を行うために、会社の預金口座から借入先の預金口座に送金した場合、会社のお金で個人の借金の返済をすることは委託の趣旨からして許されないはずですので、通常は横領罪が成立します。

そして、その場合、預金口座間のお金の動きという外形的事実のみからしても横領だとわかりますので、横領を立証することは比較的簡単です。

もっとも、現実には、そういった簡単に立証ができるような横領は多くはありません。

例えば、預金通帳を管理している社員が会社の預金口座から勝手に現金を引き出したという行為について、それが横領であることを証明することは意外に困難な場合が多いのです。

会社の預金口座から現金を引き出す行為は、それが会社の業務のために必要な引出しであれば、所有者である会社からの委託の趣旨には反していないので、当然ながらその引出しは横領にはなりません。

しかし、会社の業務のためではなく、その社員が自分のために使う目的で会社の預金口座からお金を引き出した場合、その引出しは会社からの委託の趣旨に反しているため、横領に当たることになります。

もっとも、どのような目的でお金を引き出したかというのは内心の問題なので、会社の業務のために引き出す行為も、自分のために使う目的で引き出す行為も、外形上は全く同じ行為であって、外形から区別することはできません。

どのような目的で引き出したのかについては、結局のところ、引き出した現金を会社のために使ったのか、それとも自分のために使ったのかという、使途先を見て判断せざるを得ない場合が多いです。

しかし、ある現金について、それが何に使われたのかということを証明することは容易なことではありません。
調査を行った結果、会社のお金を管理している立場の者が会社の預金口座から現金を引き出したことは明らかではあるものの、そのお金が何に使われたのかが全くわからず、完全な使途不明金となっているという場合であれば、預金口座からの引出しが会社からの委託の趣旨に反したものであったと断定することは難しいため、起訴されることは少ないと思われます。

このように横領かどうかを判断するに当たっては、対象となる財産が何に使われたのかという点が重要な判断要素になりますが、既に述べたとおり、財産の使途先を厳密に特定することは容易なことではありません。

特に現金の横領の場合、現金に色がついているわけではないので、預金口座から現金が引き出されたことや、金庫から現金が持ち出されたことが明らかで、その頃に本人が何らかの個人的な支出をしていることが明らかになっていても、その個人的な支出の原資となり得る現金が他に存在する場合、預金口座から引き出され、あるいは金庫から持ち出された現金によって個人的な支出がなされたということを証明するのは容易ではないのです。

そのため、一般に横領の立証は難しいといわれており、長期間にわたって多数回の横領を行っている事案においても、検察官は、そのすべてを起訴するのではなく、確たる証拠によって被害金の使途先が特定できた一部についてのみ起訴するという場合が多いのです。

横領の証拠

上記で記載した通り、立証が難しい横領。
では、どのような証拠が立証に有効となるのか説明します。

横領の証拠の例

横領の立証では被害金の使途先が重要ですので、横領の被害が発生した以降の被疑者の財産の処分状況に関する証拠が重視されます。

例えば、被害金が引き出され、あるいは持ち出された後に、その被害金の金額と同額またはそれに近い金額が被疑者の預金口座に入金されていれば、横領した被害金を自分のものにしたと推定できます。

自分の預金口座への入金以外にも、物品の購入や借入先への返済等で被害金額と同額またはそれに近い金額の支出がある場合にはそれも横領した被害金を支出したものと推定できます。

状況にもよりますが、被害発生後に被害金額と同額又はそれに近い金額を自宅で隠し持っていたような事実も横領の証拠となる場合があります。

これらについては、横領した被害金以外に被疑者がその原資となり得る財産を持っていると、証拠としての価値が低下し得るため、捜査機関は、被疑者の経済状況に関する証拠を複数集めることにより、被害金以外に原資となり得るものがないというところまでの証拠を収集しようとすることが多いです。

そこまでの証拠が集まっていれば、被疑者が横領したことについてのより強固な立証ができることになります。

他には、例えば、被疑者が契約書や領収証等を偽造したり、会計ソフトのデータを改ざんするなどしていれば、それは横領の発覚を防止するために行ったものと推定できますから、それらも横領を行った証拠になります。

以上に挙げたものは横領に関する証拠の一部に過ぎず、他にも事案によって様々な証拠があり、捜査機関による証拠の見つけ方も様々です。

被害会社側の証拠集め

会社の社員が会社のお金を横領している疑いがある場合、会社はどのようにして証拠集めをするのでしょうか。

会社の経営者側の考え方や会社の状況、事案の内容等によって、どの程度の調査をするのかは区々だと思いますが、多くの場合、少なくとも、会社の預貯金、金庫内の現金、帳簿類、伝票類、契約書、領収証等の調査は行うのではないかと思います。

また、会社で使用しているパソコンの調査を行う場合も多いでしょう。

会社の内外の者とのメールの調査をすることによって、その本人が横領をしていることだけでなく、共犯者の存在が判明するということもあり得ます。

横領の証拠を隠滅するためにデータの消去や改ざんが行われている場合であっても、データを復元できることがあるため、消去や改ざんの事実とともに元のデータの内容を明らかにすることができる場合もあります。

もっとも、データの復元には専用の機器や技術が必要となるため業者に依頼して行うのが通常で、費用の関係からそこまでの調査は行わないという場合もあると思います。

また、会社のパソコン以外にも、個人用パソコンや個人のスマートフォンを会社が調査する場合もあり得ます。

横領の疑いをかけられ、会社から個人用のパソコンやスマートフォンの提出を求められても、それらを提出する義務はありませんが、会社の就業規則等で調査の必要が生じた場合に個人用パソコン等を提出しなければならないという内容の条項が設けられていた場合は、提出を拒否するとそのこと自体で懲戒処分を受ける可能性があります。

そのような条項が設けられていない場合であっても、横領の疑いをかけられているという状況で個人用パソコン等の提出を拒めば、より強い疑いを持たれ、入念な調査がなされる可能性があると思われます。

まとめ

以上のとおり、横領については立証が難しい場合が多いため、捜査機関が捜査を行っても、十分な証拠がないとして横領行為の全部又は一部が不起訴となる場合がしばしばあります。

しかし、調査の結果、どの程度の証拠が集まるのか、最終的に起訴されることになるのかどうかを正確に予測することは困難ですので、横領だから証拠がないだろうとか、捕まらないだろうなどと安易に判断すべきではありません

少なくとも横領をした自覚があるのであれば、早期に被害者側と示談をすることで不起訴となることを目指す方がよい場合が多いように思われます。

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